■患者さんと共通認識を持つ

自分の歯をこれ以上失いたくないですか?むし歯を増やしたくないですか?治療で大変な思いをしたくないですか?
これを個人に質問した場合、おそらくほとんどの方が、はい、と答えるでしょう。
では、どのようにしたら、歯を失わなくてすむのか知っていますか?と質問した場合、ほとんどの方が、わからないと答えるでしょう。
そして聞きます。あなたは現在何本自分の歯が残っていますか、もともと大人の歯は何本ありましたか?びっくりするくらい知らない人が多いです。小学校の時歯の健康習慣に、教えてもらっているはずなのに。

その時、私は、患者さんに伝えます。現状を理解してもらいます。大人の歯は28本本来あること(親知らずまで含めれば32本)。現在何本失っているか。
そして、10年後何本残しておきたいか。
共通のゴールを持つことを伝えます。今ある歯の本数を維持しましょう。先生もこれ以上歯を失って欲しくないことを伝えます。

ただ、先生や歯科衛生士さんが頑張るだけではダメで、やはり、患者さん本人が、自分の生活習慣を変える必要が有ります。同じ生活習慣をしていては、また同じようにむし歯や歯周病が発生してしまいます。そのためには努力が必要です。これらの疾患は糖尿病などと同じで生活習慣病です。生活習慣を変える必要があります。
それが、患者さんが行うセルフケアの中心になります。

■「生涯美しい笑顔と自分の歯で噛めること」を実現するために

そう、患者さん自身によるセルフケアと、歯科医院でのプロフェッショナルケアが重要になります。
 そのためには、ただ厳しいことを言って、患者さんの理解なく痛い処置をして、患者さんの心が離れてしまって、治療やメインテナンスに来なくなっては元も子もありません。「その人自身を見よ。」若松宏幸先生がよくおっしゃられる言葉です。ケアの真髄はそこにあると、自分は考えています。

怖い先生ではなく、優しい先生。この人に診てほしい。そう思っていただけるだけの、誠実さ、技術、知識、責任をもって治療をしていきたいと思います。

具体的には、歯が磨けていない(=セルフケアができていない)なら、磨けていないとしっかり伝えて、歯ブラシする時間、歯ブラシの当て方、フロスの使い方、出血の程度、全ての患者さんに伝えます。それは、厳しいかもしれませんが、大切なことと考えています。そして次回きれいに磨けていたら、しっかり磨けていたこと、ブラッシングの実践を出来たことを、素直に褒めたいと思います。どれだけ汚れていても、なにも言わない方が時間もかからないし、あの先生に毎回歯を磨けと言われると陰口も叩かれないかもしれません。ただその時はなにも小言を言わないいい先生と患者さんの目には映るかもしれませんが、ブラッシングの重要性を伝え続ける、その積み重ねが、生涯その方のむし歯や歯周病で歯をうしなうリスクを下げると確信しています。
患者さんとは、生涯自分の歯でいたい、という共通認識をもってもらいたいと思います。私自身も、患者さんには生涯自分の歯でいて欲しい、その思いのために、出来る限りどれだけ細かいスキマ時間であっても、ブラッシングの重要性は伝えようと考えています。

そして患者さんと共通認識を持ち、患者さんがドロップアウトせず、セルフケアと、プロフェッショナルケアを生涯に渡り行うことを支援していきたいと願っています。