「良医になるための、勤務歯科医の5つの心得」
私も勤務医です。自分の親族に歯科医師はいませんでした。全てが1からのスタートでした。しかし人生の恩師、先輩に恵まれていました。若松宏幸先生、村上先生、山田先生、眞坂先生、戸村先生、KISの先輩たち、医局の先生方、大学同窓会の先生方、大学から出張で勤めさせていただいていた先生方、諸先生方。
歯科業界、右も左も分からない中、これらの先生に自分は導いてもらったと思います。
メンターの言葉、これまで多くの歯科医院経営者と話をして、良い歯科医師になるために必要なことを聞いてきました。
自分が実践できているとはいえませんが、心に留めて、そうあろうと努めています。
1.一人の人間として患者さんに接する。
2.技術・知識の向上に努める。
3.チームワークを尊重する。
4.経営を考える。
5.人間性を高める。
1.一人の人間として患者さんに接する。
歯科医療人として、患者さんときちんと向きあえてこそ、意味があります。
歯科医師にとっては数多くの患者さんのうちの一人かもしれなけども、その患者さんにとってはただ一人の先生です。
目の前の患者さんに誠実に丁寧に接することが重要です。
自分も、耳鼻科にかかった時に先生が(症状であったり、人物を)覚えてくれていると嬉しいです。
不安も、大切に思っていることも、患者さんに気持ちは伝わります。
自分の親を、兄弟を、子供を、親族を診るときの気持ちを忘れないでください。
目の前にあるのは歯ではない。「歯を診る前に、人を診よ。」臨床のメンターである若松先生の言葉です。大学診療で「症例」を診ることに染まっていた自分を気づかせてくれた言葉です。
2.技術・知識の向上に努める。
歯科医師は、突き詰めると技術を患者さんに提供できて意味があります。そしてその技術には知識に裏付けられてこそ意味があります。
「知識なき実践(技術)は暴力であり、実践(技術)なき知識は無力である」JIADS瀧野先生のお言葉です。はっとさせられました。歯科医師になりたての頃、病院に出た頃、もうそれはそれは、いろいろな技術を習得したい、どんな処置でも出来るようになりたい。知識を吸収したい。診療に対して、前のめりです。どんどん挑戦する。
でも、振り返ってみて、その技術は知識が伴っているのか、。自分を振り返ると、思わず疑問が湧いてきてしまいます。
確実な知識をもち、技術を提供する。
常に、臨床的疑問を持ちながら、その解決を模索する。
論文を読む、成書を読む、常に指導医とディスカッションする、学会に参加する、スタディーグループに参加する、症例検討会をする、模型実習をする。
そして「卓上の知識だけでは患者さんは救えない。その知識を実践するだけの技術がないと意味がないんや。」若松宏幸先生の言葉です。
知識はひけらかすためにあるわけではありません。技術も自慢するためのあるのではありません。患者さんによい治療を提供するためにあります。知識(エビデンス)に裏付けられた技術が必要不可欠です。
3.チームワークを尊重する。
一人では診療は出来ません。まして卒後間もない勤務医であれば、現場での技術や知恵はスタッフが抱負でしょう。新しい勤務先に就職したなら、その医院のフォーマットを完全にコピーすること。そして、スタッフに教えてもらい、求められるだけのパフォーマンスを発揮することが必要かと思います。
自分も研修医終わりたての頃、臨床の現場で何もわからない状況で、ベテラン歯科衛生士のAさんから、一から教えてもらいました。本当に感謝です。
医院が成熟していると、各スタッフの分業も進んでいることでしょう。
4.経営を考える。
勤務医で、経営を考えるのは難しいかもしれません。しかし、個人の歯科医院は慈善事業でも、NPOでもありません。医療サービスを提供して、医療収益をあげて、各個人が給料をもらい、各個人の生活が成り立っています。
自分がこれがしたいんだ!と言っても全部が出来るわけではありません。
残念ながら、保険診療で、一人の患者さんを2時間診て、一日4人だけ、と言うのは現実的には不可能です。
では、経営を考えるまず第一は、自分のパフォーマンスを知ることです。個人歯科医院の適正人件費は20〜25%(参考HP:船井総研HP:http://www.funaisoken.co.jp/mailmagazine/display.html?mailmagazine_id=879)です。すべてのスタッフを合わせてです。では勤務医への人件費はどれくらいでしょう。すくなくともその範囲内でしょう。仮に20%を勤務医分としましょう(それでも他のスタッフへの人件費が圧迫されますが)。
もし自分が診療した分の診療報酬額が月に100万円分だったら20万円以内が適正給料でしょう。自分の給料から経営を考えるというのも、ひとつの方法でしょう。
5.人間性を高める。
いろいろな勤務医の話を聞きまます。
はちゃめちゃな治療をする勤務医。知識のない勤務医。
いつまでたっても指導医のチェックを求める勤務医。
患者さんに冷たい勤務医。
スタッフとの間でいざこざ起こす勤務医。
求められているレベルに達していないのに要求だけする勤務医。
イライラして不機嫌な勤務医。
それは、勤務医が成長するために越えなければいけない壁でしょう。新人の時は少しは許されるのかもしれませんが成長しなければ、社会人として意味がありません。これらは、成長して逆の評価を貰えれば社会人としての価値が生まれるでしょう。
まずは、院長や、スタッフや、患者さんに認めてもらうだけの努力と結果が必要だと感じます。勤務医である以上、給料をいただいているのは、院長や患者さんからであり、仕事をスムーズに行わせてもらっているのはスタッフがいるから。
職場は修行の場です。とくに自立を目指す専門職にとっては。
その環境で認められるだけの努力をがむしゃらにする。寝る間を惜しんで勉強する。多くの人間と接し、人間というものを理解する。
長い歯科医師人生、初めての歯科医院の職場、新しい歯科医院の職場で、認められるだけの仕事をすることが大切ではないでしょうか。