今日は午後の診療をお休みさせていただいて、滋賀県びわ湖ホールにて開催される「日本歯科保存学会2014年度春季学術大会 認定研修会」に参加して来ました。
講演内容は「 歯周病の診断と治療  ―特殊な歯周病を中心に―」と題して
鹿児島大学大学院医歯学総合研究科 歯周病学分野 野口和行先生の講演を拝聴しました。

 歯周病は、以前は歯槽膿漏と呼ばれており、日本人の多くの者が罹患しております。歯肉や歯槽骨など歯周組織の破壊を引き起こし、歯の動揺、歯の脱落により、ものが噛めなく成るなどの機能障害を生じさせます。
そのような歯周病に対して、歯周治療は歯周病にかかった歯周組織を健康な状態に回復し、口腔機能や審美性などを改善することを目的としています。

(1)骨Paget病
 野口先生は、今回の講演にて永久歯自然脱落を伴う、これまでに報告のない 11 歳歯周炎症例を提示してくださいました。鑑別診断を行い、医科的な検査を行い、骨Paget 病と関連する可能性があると診断に至ったそうです。炎症のコントロールとスプリントタイプの義歯による咬合の安定で現在症状は落ち着いているそうです。
 通常、日常臨床で遭遇する歯周病は、プラーク性歯肉炎、慢性歯周炎、極稀に侵襲性歯周炎が多いと思います。日常臨床を一般歯科診療所で行っていると、診断のためになかなか総合病院の医科と連携することの難しさを感じますが、とても意義のあることだと思います。そして、処置の必要に応じて、総合病院の歯科や、大学病院への適切な紹介が必要だと感じさせられました。

トピックスとして、歯科保存学会認定医でのP症例については、4〜6mm以上が4歯以上、そして明示されていないが、専門医も同じ条件が良いことがふれられていました。

(2)その他特殊な歯周病 
 また今回の講演の中で、特殊な歯周病として、①薬物性歯肉増殖症、②壊死性潰瘍性歯周疾患、③全身的疾患に関連する歯周病についての症例提示、治療方針、文献、治療経過について触れておりました。とくに治療において通常の歯周治療と合わせてその原因や症状に考慮した治療が必要になると指摘されました。
 ①具体的には、抗てんかん薬のphenytoin、valproic acid、またCa拮抗系降圧剤のnifedipineなどによる薬物性歯肉増殖症の治療には歯肉増殖の副作用のない薬物に変更ができるか医科担当医師と対診する必要性を説かれました。変更できない場合、歯肉増殖が残存する中でのSPTが必要になる。Ca拮抗系降圧剤の他のカルシウム拮抗薬への変更については「高血圧治療ガイドライン2014年」において副作用が出た場合の対応法が記載されているとのことなので機会を見て確認しておこうと思います。
 歯肉増殖の頻度に関しても抗てんかん剤フェニトイン50%、カルシウム拮抗剤数%、シクロスポリンは小児で>70%、成人で25%〜30%ほどであるとこが示されていました。想像以上の数字であり、とくにCa拮抗系降圧剤を服用されている方はよくいるので注意すべきだと思いました。

 ②壊死性潰瘍性歯周疾患は、3つの診断条件、(1)歯間乳頭にクレーター状の深在性の潰瘍壊死、(2)強い歯肉疼痛、(3)歯肉の易出血性によって診断されます。ほかに、口臭、発熱、リンパ節腫脹などの症状が生じることも有ります。口腔清掃、抗菌薬の投与が必要となります。原因に極度のストレスや疲労、他にもHIV感染や白血病などが関連していることがあり、医科との連携が必要となる場合もあります。

 ③全身的疾患に関連する歯周病として,Cathepsin C遺伝子の異常であるPapillon‒Lefèvre症候群などがあります。治療として薬物療法を含む感染のコントロールを主体とした歯周治療が必要となります。
また,粘膜病変として扁平苔癬などに由来する慢性剝離性歯肉炎の症例も存在します。
このほか、とてもまれな疾患として、Wegener 肉芽腫症や遺伝性出血性毛細血管拡張症(Osler病)などの歯肉の出血・潰瘍を伴うものもあり、歯科のみでは診断が困難であり、医科との連携が必要となります。

これらのまれな歯周疾患はなかなか遭遇する頻度が少ないため、このような機会にその臨床例と、治療経過をみることが出来たのはとても意義がありました。自分の診療の際にも粘膜や歯肉への観察を注意深く行っていきたいと思います。