外科的歯内療法Surgical endodontics

意図的再植術

外科的歯内療法

意図的再植とは、一旦抜歯し、口外で歯根に対する処置を行った後に、口の中に戻す(再植する)治療方法です。

近年であればマイクロスコープを使用した精密な外科的根管治療を行うことができますが、その外科的根管治療では対応できないケースで適応されることが多い術式です。

一般的にはこの治療の主な対象歯は7番目の大臼歯や下の5番目の小臼歯で行われることが多いのが特徴です。

一旦、歯を抜いてはっきりと確認しやすい状況で汚染除去し、歯の根の先端も直接的に確認し、細菌がいる可能性のある部分を削り薬剤を詰めることが可能となります。他の治療法と比較して高確率で細菌汚染されている部分を除去することが可能です。

意図的再植術のメリット・デメリット

外科的歯内療法

メリット

意図的再植術の最大のメリットは、自分の歯を残せる可能性をあげることができることです。また、歯を完全に取り出してよく見える状態で病巣を除去するため、汚染部位の取り残しが生ずる危険性がより少なく、周囲の健全な骨を不必要に削除する必要がないというのもメリットです。

外科的歯内療法

デメリット

根の形状によっては処置を受けられない場合があります。抜歯の際に、歯が折れたり、歯根膜が大きく傷ついたりすると戻せなくなってしまうため、慎重に適応かどうか判断します。 残念ながら、のちに骨が根を吸収して抜け落ちてしまうことがあります。また治癒後も、歯の揺れが残ってしまう可能性があります。

自分の歯を残す最後の手段

意図的再植術の流れ

  1. 麻酔をし、抜歯をします。
  2. 抜歯した歯から病変部を取り除きます。
  3. 取り除いた部分にMTAセメントという殺菌力と骨と歯の再生力がある素材を詰めます。
  4. 歯を元の位置に戻し、縫合して動かないように固定します。

意図的再植術の成功率は80~90%といわれています。
術後数年たってから歯根が吸収して溶けてきたり、歯と骨が癒着することもあるので経過観察が重要です。