理事長ブログBlog
【若手Dr・DH向け】アライナー矯正の治療モニタリング(経過観察)の仕方
☆初めに
先日、「アライナー矯正の経過観察時のチェックポイント」を教えてくださいという質問をいただきました。
今回は、Dr、DHさんが診る、ポイントをお伝えします。
若手Dr、DHでアライナー矯正(特にインビザライン矯正)になれていない先生で、矯正治療の経過観察時に何を診るのか質問があったので、志結会でのチェックポイントをお伝えします。
アライナー矯正での、1ヶ月〜1.5ヶ月ごとのチェック時の、チェックポイント(治療のモニタリング)についてお伝えします。
これからインビザライン矯正のチェックをするDr,DHさんの参考になればと思います。
想定として、法人に矯正医が在籍しており、判断を仰げる環境を想定しています。志結会では、情熱と真剣に矯正治療も取り組みたいと思う先生は、矯正医のもとで、自分の担当患者様の矯正治療も行うことができます。
☆アライナーチェック(治療モニタリング)の流れ
診療室へ導入
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ヒアリング、問診:使用時間、頻度を確認します。
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治療の流れの説明:今日の行う内容をお伝えします。
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口腔内のチェック:アライナーをつけた状態で口腔内を確認します。この時に、アライナーの歯牙へのフィッティングを確認します。
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アライナーを患者様に外してもらう:患者様の外し方を注意して観察します。舌側・口蓋側より外しているか、どこかに無理な力がかかっていないか確認します。口腔内の清掃状態も把握します。
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アタッチメントの脱離の確認:アタッチメント・ボタンの脱離を確認します。
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予定された処置:IPR、アタッチメント、機能トレーニング:当日の予定されていた内容を行います。
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口腔内清掃:歯間部への食渣が無いか注意します。ある場合は同部位へのTBIも行います。Y字型フロスがおすすめです。
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口腔内写真撮影、必要に応じスキャニング:経過を診るために今日の状態を記録します
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次回までの注意事項の説明:特に顎間ゴムの開始時、大切な内容を最後再び患者様にお伝えします。
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次回アポイントを確認:適切な時期に来院を促します。この時、時期が空きすぎると、治療計画がずれてしまう可能性も伝えます。
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終了
☆習慣、心理面への配慮と対処法
日常で生活で、22時間以上の装着ができているかを確認します。
ステージの進行を把握します。
☆機能のチェックと対処法
歯の移動具合を確認。治療計画通りに動いているか。とくに、側切歯など小さい歯牙の回転など動かすのが難しい歯牙の移動を確認します。クリンチェックと対比することも有効です。
☆形態のチェックと対処法
(1)アタッチメントの脱離が無いか確認します。ある場合は、アタッチメントテンプレートを使用して再装着します。歯面の清掃、再エッチングが重要です。大臼歯部での脱離が多いです、上顎では唾液腺の開口部が、下顎では舌側の唾液が付着している可能性があるので、圧排を十分に行う必要があります。
(2)アライナーのフィッティングに問題がないか。浮き上がり。フィッテインングに問題がある場合、多くは、チューイの使用が不十分な場合と使用時間の不足が挙げられます。
クリンチェック上で動きが難しい時期の場合、使用時間を長くするなどの判断を矯正医は判断をします。
(3)コンタクトがきつすぎないか:コンタクトがきつい場合、歯牙が動くことが難しくなります。適切なIPRがなされているか確認を行います。
(4)(インビザファーストでは)交換歯の適合をみる。小児矯正でインビザラインファーストを行っていると、交換歯が出てきます。不適合には、アライナーのトリミングと追加アライナーの作製を選択します。
特にステージ25を過ぎてくると、アライナーの予知性は下がってきます。適合が不十分であれば、追加アライナーの作製を検討する必要があります。よく矯正医と相談しましょう。
最後に
矯正治療は検査に始まり、検査に終わります。診査・診断と、治療計画が大切なことに疑いはありません。
その中で、日々のチェックで、特にどういうところに着目するかをお伝えしました。こぜひ参考にしてもらえたらと思います。
今回の内容は下記参考図書をベースに記しました。
「穴沢有沙著;歯科医師&歯科衛生士のためのマウスピース矯正入門」非常にわかりやすくまとめてくれています。ぜひ購入して熟読をおすすめします。とくにまだ、アライナー矯正にほとんど触っていないDr,DHにおすすめです。
アライナー矯正は、すべての不正咬合を治せる治療法ではありませんが、不正咬合の半数の患者様にとっては非常に有効な方法です。セファロ分析や、CTを用いての顎骨や歯根の診査をすることは大切です。
若手Drは、適切な診査診断のもとでぜひアライナー矯正を自分の武器にしてほしいと思っています。