理事長ブログBlog

492024
日々のこと

「世界の口腔保健をリードする若手歯科医師たちへ:WHOとの連携で開く新たな地平」

歯科医療のフロンティアを拓く:世界保健機関(WHO)との連携による未来への一歩

 

歯科医師になったばかりの皆さんや、歯学部学生の方へ。

 

私たちの専門領域である歯科医療が、世界の健康増進にどのように貢献できるか、考えたことはありますか?

最先端の歯科医療技術を駆使しながらも、世界各地でまだ歯科医療が十分に提供されていない現状があります。特に、歯科医師が2人しかいない国も存在します。

これは、私たちにとって大きなチャレンジであり、貢献の機会でもあります。

2023年に採択されたWHO世界口腔保健行動計画は、2030年までに「すべての人が、適切な口腔健康増進、口腔疾患予防、治療、機能回復に関するサービスを、支払い可能な費用で受けられること」を目指しています。

これには11の具体的な目標が設定されており、各国での実施が急務とされています。

私たちの住む日本は、8020運動、乳幼児歯科健診、学校歯科健診など、生涯を通じて切れ目のない歯科口腔保健に関する施策を展開し、国民皆保険制度としての歯科治療を実現してきました。

これらの取り組みは、WHOからも成功事例として紹介されています。日本の取り組みが世界の口腔保健向上にどのように貢献できるか、具体的に見ていきましょう。

まず、フィリピンでは日本の8020運動をモデルに7020運動が始動しようとしています。

これは、日本の取り組みが他国の口腔保健向上に直接的な影響を与えている好例です。

また、トンガでは、日本の歯科NGOが小学校でのフッ化物洗口やフッ化ジアンミン銀によるむし歯の進行抑制活動を支援しています。このような国際的な協力は、WHOからも高く評価されています。

私たちがこれから目指すべきは、こうした成功事例を更に多くの国に広め、歯科医療のグローバルな展開を加速させることです。

そのためには、WHOとの連携を一層強化し、世界口腔保健行動計画の具体的な実施に向けて、日本歯科医師会が主導的な役割を果たすことが重要です。

では、具体的に私たち歯科医師は何ができるのでしょうか。

まずは、国際口腔保健シンポジウムなどを通じて、世界の歯科医療に関する最新情報を共有し、他国とのネットワークを強化することが挙げられます。

また、先進的な歯科医療技術の提供はもちろん、地域に根ざした歯科医療の普及活動にも積極的に参加することが、世界の口腔保健向上に貢献する道です。

歯科医療は、人々の生活の質を高める上で欠かせない要素です。

世界各地で歯科医療が必要とされている今、私たち日本の歯科医師が先頭に立ち、知識と技術、経験を世界に向けて発信することが求められています。

この大きな使命に対して、一人ひとりがどのように取り組んでいけるか、ぜひ一緒に考えてみましょう。

<はじめに>

 

歯科医療が世界の健康に及ぼす影響は、計り知れないほど大きいものがあります。私たちが普段行う治療が、患者の生活の質を向上させるだけでなく、社会全体の健康促進に寄与していることを、皆さんはご存じでしょうか?

今回のブログでは、歯科医療のグローバルな展望に焦点を当て、特に世界保健機関(WHO)が推進する世界口腔保健行動計画における私たちの役割と貢献について掘り下げていきます。

歯科医師一人ひとりが持つ技術や知識は、世界のどの地域でも価値があり、必要とされています。

しかし、残念ながら全世界を見渡すと、十分な歯科医療を受けられていない地域が数多く存在します。

世界の一部では、歯科医師の数が極端に少ないことから、基本的な口腔保健サービスさえ受けられないという現状があります。

WHOが提唱する世界口腔保健行動計画は、このような状況を改善し、2030年までに「すべての人が、適切な口腔健康増進、口腔疾患予防、治療、機能回復に関するサービスを、支払い可能な費用で受けられること」を目標に掲げています。これは、私たち歯科医師にとっても、非常に重要な指針となります。

日本では、8020運動をはじめとする口腔保健の取り組みが、世界に先駆けて進められてきました。

この運動は、80歳になっても20本以上の自分の歯を保持し、健康で豊かな生活を送ることを目指すものです。

このような取り組みは、世界保健機関からも高く評価され、成功事例として紹介されています。

日本の歯科医療が世界の模範となりうることは、私たちにとって大きな誇りであり、さらなる責任を感じさせます。

しかし、この成功を胸に、自己満足に浸るのではなく、私たちにはさらなる使命があります。

それは、世界各地で歯科医療が必要とされている人々に対して、どのようにして貢献できるかを常に考え、行動に移すことです。

特に、歯科医師が不足している地域への技術移転や、教育支援など、私たちの知見と経験を活かした支援が可能です。

また、国際的なシンポジウムやワークショップを通じて、世界中の歯科医師と知識を共有し、新たな技術や治療法を学び合うことも、大きな貢献となります。

このブログを通じて、世界の口腔保健に対する私たちの責任と役割を再認識し、一歩踏み出すきっかけになればと思います。

WHOとの連携を強化し、世界口腔保健行動計画の実現に向けて、私たち歯科医師ができることはまだまだ多くあります。

グローバルな視点を持ち、地域や国境を越えた活動に積極的に参加することで、世界中の人々の口腔健康と生活の質の向上に貢献しましょう。

 

<歯科医療のグローバルな現状>

世界に目を向けると、歯科医療の現状は地域によって大きく異なります。

 

先進国では高度な歯科治療が一般的に利用可能であり、口腔保健へのアクセスも比較的良好です。

しかし、発展途上国や低所得国では、基本的な歯科医療サービスでさえ十分に提供されていないのが現実です。

特に、歯科医師が極端に不足している地域では、住民の口腔健康に深刻な影響を及ぼしています。

歯科医師の不足は多くの要因によって引き起こされていますが、その中でも教育機関の不足、医療資源の配分の不均等、経済的な制約が主な原因として挙げられます。

 

多くの発展途上国では、歯科医師を育成するための教育施設が不足しており、また、既に資格を持つ歯科医師でさえも都市部に集中する傾向にあり、地方や農村部ではサービスがほとんど提供されていません。

 

このような医療資源の偏在は、地方の人々が適切な歯科医療を受ける機会を大幅に制限しています。

経済的な問題も、歯科医療サービスへのアクセスを阻害する大きな要因です。

多くの低所得国では、基本的な生活費を賄うのに十分な収入がないため、住民は健康を守るための基本的なサービスさえ利用できません。

 

歯科治療が必要な場合でも、費用が払えないために治療を受けられず、結果として口腔健康が悪化するという悪循環に陥っています。

このような状況は、歯科医療が高度に発展した国々との間で、さらなる健康格差を生み出しています。

加えて、文化的な要因や認識の問題も、歯科医療へのアクセスに影響を与えています。

 

一部の地域では、口腔健康が全体の健康に与える影響に対する認識が低く、歯科医療への優先順位が低くなっています。

これにより、限られた医療資源が他の医療分野に配分され、歯科医療の必要性が見過ごされがちになっています。

このように、歯科医師が不足している地域では、教育機関の不足、資源の偏在、経済的な制約、文化的な要因などが複雑に絡み合い、住民の口腔健康を損なう大きな障害となっています。

 

これらの問題に対処するためには、国際的な協力と地域社会の取り組みが必要です。

歯科医師一人ひとりが、自分たちの知識とスキルを世界の人々の口腔健康向上のためにどのように活かせるかを考え、行動を起こすことが求められています。

 

<WHO世界口腔保健行動計画とは>

 

世界保健機関(WHO)は、口腔保健の改善を目指し、「WHO世界口腔保健行動計画」を策定しました。

この計画は、2030年までの目標を設定し、全世界で口腔疾患の負担を軽減し、すべての人々が適切な口腔保健サービスを受けられるようにすることを目指しています。

ここでは、この計画の背景、主な目標、そして具体的な行動計画について簡潔に解説します。

背景

口腔疾患は、世界中で非常に広く見られる健康問題であり、最も普遍的な非伝染性疾患(NCD)の一つとされています。

虫歯、歯周病、口腔がんなど、これらの疾患は多くの人々の生活の質を著しく低下させ、経済的負担を増加させています。

しかし、多くの場合、予防可能であり、適切な治療によって管理することができます。WHOは、この問題に対処し、口腔保健サービスの普及と向上を目指しています。

2030年目標

WHO世界口腔保健行動計画の中心には、口腔保健のユニバーサルヘルスカバレッジ(UHC)の達成があります。具体的には、以下の目標が設定されています。

  1. 全ての人々が、負担なく、高品質の口腔保健サービスを受けられるようにすること。
  2. 口腔疾患の予防と管理を通じて、全人口の健康を向上させること。
  3. 口腔保健の不平等を減少させ、特に脆弱な集団や農村地域に焦点を当てること。

具体的な行動計画

この目標を達成するために、WHOは以下のような具体的な行動指針を提案しています。

  • 予防策の推進: フッ素を含む歯磨き粉の普及や、健康的な食生活の推奨など、口腔疾患の予防に関する啓発活動を強化します。
  • 早期発見と治療: 定期的な歯科検診の普及や、初期段階での治療を通じて、口腔疾患の進行を抑制します。
  • 教育と訓練: 歯科医師や口腔保健専門家の教育と訓練を強化し、質の高い口腔保健サービスの提供を支援します。
  • 政策とシステムの強化: 国レベルでの口腔保健政策の策定と実施を支援し、効率的かつ持続可能な口腔保健システムの構築を促進します。
  • 国際協力の促進: 各国間の情報交換や、技術移転を通じて、グローバルな口腔保健改善に向けた協力を促進します。

この行動計画の実施には、政府、医療従事者、教育機関、民間セクター、そして地域社会の協力が不可欠です。

WHO世界口腔保健行動計画は、全世界で口腔疾患の負担を軽減し、すべての人に高品質の口腔保健サービスを提供するための強力な枠組みを提供します。

私たち歯科医師も、この大きな目標達成のために積極的に貢献していく必要があります。

 

<日本の先進的取り組みと国際的影響>

日本は口腔保健の分野で長い間、革新的な取り組みを行ってきました。特にその代表例が「8020(はちまるにいまる)運動」です。

この運動の目標は、80歳になっても20本の自分の歯を保つことにあり、健康な口腔環境の維持と、生涯にわたる健康増進を目指しています。

 

この運動は、予防歯科医療の重要性を広く国民に啓蒙し、多くの人々に実践されてきました。その結果、日本は世界でも高いレベルの口腔保健を実現しています。

 

8020運動の成功は、単に国内での成果にとどまりません。この運動は国際社会においても注目され、日本の口腔保健の取り組みが他国の模範となっています。特に、予防を中心とした口腔保健プログラムの重要性を認識し、多くの国々がこのアプローチを取り入れ始めています。

 

日本の先進的な取り組みは、世界保健機関(WHO)による世界口腔保健行動計画の策定にも影響を与えました。WHOは、口腔疾患の予防と治療へのアクセス向上を目指し、各国に予防重視の政策の採用を推奨しています。日本からの知見と実践が、国際基準の策定や各国の口腔保健政策の発展に貢献しているのです。

 

さらに、日本は国際的な口腔保健改善のための支援にも積極的に取り組んでいます。日本の政府や民間団体は、途上国の口腔保健向上プロジェクトを支援し、歯科医療の専門知識や技術の提供を通じて、グローバルな口腔保健の向上に寄与しています。これにより、歯科医師や口腔保健専門家の教育・訓練の機会を増やし、質の高い口腔保健サービスの普及を促進しています。

 

日本の取り組みは、予防歯科医療の普及だけでなく、口腔保健の質の向上、そしてそれを支える教育システムの充実にも貢献しています。これらの活動は、国際社会での口腔保健の重要性を高め、多くの国で口腔保健サービスの改善につながっています。

 

このように、日本の8020運動をはじめとする先進的な取り組みは、世界中の口腔保健改善に大きな影響を与えています。日本の成功事例は、他国にとって重要な学びとなり、国際的な口腔保健の発展に寄与しているのです。これからも日本は、世界の口腔保健向上のために、その知見と経験を共有し続けることが期待されています。

 

<国際協力の現状と成果>

 

日本は、口腔保健の分野で国際協力を積極的に展開しています。

特にフィリピンやトンガでの取り組みは、国際社会から高い評価を受けており、日本の口腔保健に関する先進的な技術や知識の共有が、現地の人々の生活の質の向上に貢献しています。

 

フィリピンでは、日本の8020運動をモデルにした「7020運動」が推進されています。この取り組みは、70歳で20本の自分の歯を保つことを目標としており、日本からの技術支援や知識の提供を受けています。

特に、予防歯科医療の重要性を広める教育プログラムや、定期的な歯科検診の普及に力を入れています。これにより、フィリピン国内での口腔保健意識の向上が見られ、虫歯や歯周病の予防につながっています。

 

トンガでは、日本の支援によるフッ化物洗口プログラムや、フッ化ジアンミン銀によるむし歯の進行抑制プログラムが小学校で実施されています。

これらのプログラムは、子どもたちの口腔保健を改善し、むし歯の発生率を低下させることを目的としています。日本の歯科医療NGOやJICA(国際協力機構)が中心となり、地元の教育機関や保健当局と協力して、これらの活動を支援しています。

この取り組みは、トンガ政府によって高く評価され、WHOからもベストプラクティス賞を受賞するなど、国際的にも認知されています。

 

これらの国際協力の取り組みは、WHOからも高く評価されています。日本の技術や知識の共有が、途上国の口腔保健の改善に大きく貢献しているとされ、特に予防を中心とした口腔保健プログラムの重要性が強調されています。WHOは、各国が日本のように予防重視の口腔保健プログラムを推進することを支援し、国際的なネットワークを通じて情報や技術の共有を促進しています。

 

日本の国際協力の現状と成果は、単に技術や資金の提供に留まらず、持続可能な口腔保健システムの構築や、口腔保健に関する意識の向上にも貢献しています。フィリピンやトンガでの成功事例は、他の国々にとっても参考になるモデルとなり得ます。これらの取り組みを通じて、日本はグローバルな口腔保健の向上に向けた国際的なリーダーシップを発揮しているのです。

 

<私たち日本の歯科医療者にできること>

歯科医療従事者として私たちがWHOとの連携を強化し、グローバルな口腔保健向上に貢献するためには、具体的なアクションプランが必要です。このプランは、個々の医師のスキルや知識を最大限に活用し、国際的な取り組みに貢献する方法を示します。

 

  1. 教育と訓練の強化: 継続的な教育を通じて最新の予防法や治療技術を学び、これを実践に移すことが重要です。また、途上国の歯科医療従事者向けのトレーニングプログラムに参加し、知識や技術を共有することで、グローバルな口腔保健のレベルを向上させることができます。
  2. 国際的なネットワーキング: 国際的な歯科医療コミュニティとの連携を強化し、情報交換や共同研究を促進します。これにより、異なる地域や文化における口腔保健の課題に対する理解を深め、より効果的な解決策を開発することができます。
  3. 公衆衛生への貢献: 地域社会や学校での口腔保健プログラムに参加し、予防教育や初期治療の重要性を啓発します。公衆衛生への取り組みを通じて、口腔疾患の予防と健康増進を促進します。
  4. 研究とイノベーション: 新しい予防法や治療法の開発に貢献することで、口腔保健の科学的基盤を強化します。研究活動により得られた知見を国際シンポジウムや学術誌で共有することで、世界中の口腔保健の向上に貢献します。

 

<国際口腔保健シンポジウムの役割>

国際口腔保健シンポジウムは、歯科医療従事者、研究者、政策立案者が一堂に会し、最新の研究成果や政策動向、臨床技術を共有する場です。このシンポジウムは、グローバルな口腔保健問題に対する包括的な理解を深め、多様なアプローチや解決策を議論する重要な機会を提供します。

 

シンポジウムを通じて得られる情報共有やネットワーキングは、次のような利点をもたらします:

  • 最新の知識と技術の獲得: 世界各地の専門家からの最新の知見を学び、自身の臨床実践に活かすことができます。
  • 国際的な協力関係の構築: 異なる国や地域の歯科医療従事者との関係を築き、将来的な共同研究やプロジェクトにつながる可能性があります。
  • 公衆衛生政策への影響: シンポジウムでの議論や提案が、国際的な口腔保健政策の策定に影響を与えることがあります。

私たち歯科医師がWHOとの連携を強化し、グローバルな口腔保健向上に貢献するためには、個々の努力だけでなく、国際的なコミュニティとの協力が不可欠です。国際口腔保健シンポジウムは、このような協力関係を構築し、強化するための重要なプラットフォームとなります。

 

<志ある仲間とともに>

私たちは、南大阪という地域社会で日々、患者さんの口腔健康を守るために尽力しています。

しかし、私たちの役割はそれだけに留まりません。

 

国際機関や、世界保健機関(WHO)と連携し、グローバルな視野で口腔保健の改善に取り組むことも、私たちに課せられた大きな使命の一つです。今日私たちが直面している多くの口腔保健の課題は、国境を超えた協力なしには解決できないものです。

 

そのためには、一人ひとりの歯科医師が世界の口腔保健改善にどう貢献できるかを考え、行動を起こすことが不可欠です。

世界各地で歯科医療サービスへのアクセスが限られている地域があります。

私たちには、最新の予防法や治療技術を学び、それを必要としている人々に届ける知識と能力があります。

また、国際的な研究やプロジェクトに参加することで、世界の口腔保健の課題解決に貢献することができます。

さらに、国際口腔保健シンポジウムのようなプラットフォームを活用して、世界中の専門家と知識を共有し、協力関係を築くことも重要です。

志結会では、国際的な研究や、国際支援をする歯科医師をサポートしてます。

 

このような国際的な取り組みは、個々の歯科医師の専門性を高めるだけでなく、世界全体の口腔保健水準を向上させることに貢献します。

私たち日本の歯科医師が培った知識と技術を共有し、世界の口腔保健向上に貢献することで、より多くの人々が健康で幸せな生活を送ることができるようになります。

今、私たち歯科医師が一致団結し、グローバルな口腔保健の改善に向けて積極的に行動を起こす時です。

小さな一歩が、大きな変化を生むことがあります。

一人ひとりができることから始めましょう。世界中の人々の笑顔と健康のために、私たち歯科医師が果たす役割は計り知れないものがあります。

 

私たちの専門性と情熱を、世界の口腔保健の向上のために生かしましょう。そして、これからも変わらずに、一人でも多くの人々の健康な笑顔を守り、増やしていくために、共に歩み続けていきましょう。

国際協力に興味のある情熱ある若手歯科医師は、ぜひ私までFBメッセージ、インスタメッセージ、医院問い合わせよりご連絡ください!