理事長ブログ

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2122026
日々のこと

医療的ケア児と地域社会みんなで支えるために

はじめに

 

先日、地区での研修を受講してまいりました。

皆さんは「医療的ケア児」という言葉をご存じでしょうか?

医療技術の進歩によって、NICU(新生児集中治療室)などで治療を受けたのち、自宅で医療機器を使いながら生活しているお子さんが増えています。

彼らは地域の一員であり、温かい支えが必要です。

 

ここでは、医療的ケア児の現状と、当院や地域でできる支援について分かりやすくご紹介します。2026年2月12日現在の情報をもとにお伝えします。

 

医療的ケア児とは

 

医療的ケア児とは、退院後も人工呼吸器や胃ろうを使う、たんの吸引や経管栄養などの医療的ケアが日常的に必要なお子さんを指します。

医療的ケアには人工呼吸器による呼吸管理のほか、気管切開の管理や鼻咽頭エアウェイの管理、ネブライザーや酸素療法、中心静脈カテーテルの管理、継続的な透析や導尿などが含まれます 。18歳未満だけでなく、高校などに在籍する18歳以上の方も対象です 。

医学の進歩により救える命が増えた一方、医療的ケアが必要なこどもたちも増えています。

こども家庭庁の推計によると、在宅の医療的ケア児(0~19歳)は2024年時点で全国に約2万1126人、人工呼吸器を必要とするお子さんは6180人にのぼります 。2010年代後半から増加が顕著で、低年齢層(0~4歳)の伸びが特に大きいと報告されています 。

 

口腔ケアが生命に直結する理由

 

医療的ケア児にとって、口腔の健康は「命に直結するケア」です。

誤嚥性肺炎のリスクが高いため、口の中の細菌を減らすことが大切です。

また、経管栄養が長期になると口腔内が乾きやすく、むし歯や歯周炎、粘膜の傷などを起こしやすくなります。

早期からの口腔管理は、嚥下機能の発達や食べる楽しみを支える土台にもなります。

私たち歯科医師や衛生士だけでなく、ご家族や地域の方々が口腔ケアの意識を高めることが重要です。

 

なぜ地域で支える必要があるのか

 

こども家庭庁は、医療的ケア児への支援には医療・福祉・保健・子育て支援・教育など多くの職種が連携することが不可欠だと指摘しています。

しかし自治体の担当窓口がばらばらで、情報をまとめて知ることが難しいため、国は支援制度のページを設け、情報発信を強化しています。

地域の理解と支援がなければ、家族は孤立してしまいます。

日本医師会の小児在宅ケア検討委員会は、医療的ケア児の自立を支援する地域共生社会の実現に向けた提言をまとめています。

その中では、地域の医師会が災害時の避難支援体制を整えたり、保健・医療・障害福祉・保育・教育機関との連携の場を設けること、医療的ケア児を対象とした避難行動要支援者名簿や個別避難計画の整備が必要であることが強調されています 。

実際に愛知県の瀬戸旭医師会では、ICTを活用した防災訓練が医療的ケア児と家族の参加のもとで行われています 。こうした取り組みは地域での支え合いの好例です。

 

歯科医師会・志結会おざき歯科医院の取り組み

 

私たち医療法人志結会おざき歯科医院では、「口腔の健康を通じて関わる全ての人々と物心両面ともに幸せである」という理念のもと、医療的ケア児への支援を以下のように行うことを考えております。

 

  1. 医療的ケア児対応できる外来環境体制へ – 完全予約制で半個室診療を行い、人工呼吸器や胃ろうなどの機器に配慮した安全な環境を整えていkます。
  2. 在宅歯科訪問 – 医科主治医や訪問看護師と連携し、在宅療養中のお子さんの口腔ケアや食事指導を行えるようにしていきます。
  3. 嚥下評価とリハビリ – 耳鼻咽喉科や言語聴覚士と協力し、嚥下機能の評価とトレーニングをサポートできる体制を整えていきます。
  4. スタッフ教育 – 気管切開管理や緊急時対応の研修を定期的に行い、スタッフ全員が安心安全な対応をできるようにしてまいります。
  5. 家族支援 – ご家族の負担を軽減するため、口腔ケアの方法を伝えたり、心理的なサポートにも努めていきます。

 

また、地域歯科医師会でも、自治体や医師会、学校、福祉事業者と協力して「医療的ケア児対応可能な歯科医院」のリスト化や研修会の実施、災害時の連携体制づくりなど、地域全体での支援体制構築を進めていけると考えられます。

 

地域住民としてできること

 

医療的ケア児の支援は特別な知識を持つ専門家だけの仕事ではありません。地域の皆さんにもできることがあります。

  • 理解と共感を示す: 医療的ケア児は決して「かわいそうな存在」ではなく、地域で共に暮らすお子さんです。困ったときはお互いに声をかけあいましょう。
  • 災害時の備え: 医療的ケア児は停電や避難時に特別な配慮が必要です。地域の避難訓練に参加し、避難経路や支援方法を学びましょう。自治体の避難行動要支援者名簿への登録や個別避難計画づくりも重要です 。
  • ボランティアや支援イベントへの参加: 医療的ケア児支援センターやNPOが行う講座やイベントに参加し、支援の輪を広げることができます。
  • 口腔ケアへの関心を高める: むし歯や歯周病の予防はすべての人に共通する課題です。家庭でのブラッシング習慣や定期歯科検診を通じて、地域全体の口腔健康を高めましょう。

 

 

おわりに

 

医療的ケア児への支援は、社会の成熟度を表すと言われています。

こうしたお子さんとその家族が安心して暮らせる地域をつくることは、私たち自身の暮らしやすさにもつながります。

志結会おざき歯科医院は、地域の皆さんとともに、医療的ケア児が笑顔で過ごせるまちづくりを目指して歩み続けます。

私たちの取り組みにご理解とご協力をお願いいたします。