理事長ブログ

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10192026
研修・講演

歯科医師とアシスタントが一緒に学ぶと、何が変わるでしょうか?

こんにちは。医療法人志結会おざき歯科医院、理事長の尾崎亘弘です。

若手の先生方は、アシスタントの皆さんと、どんなことを話していますか?
器具の準備や次の予約だけしてもらいあまり話さずに、一日が終わることもあるかもしれませんね。

今回は、歯科医師とアシスタントが一緒に学ぶ時間について考えます。専門知識を伝えるだけでなく、お互いが何を見て、どこで迷っているかを知る時間です。

1.同じ説明を聞くだけで、学びは共有できる?

世界保健機関の多職種連携教育の枠組みでは、異なる専門職の学習者が、互いについて、互いから、そして共に学ぶという考え方が示されています。[1]

これを歯科医院での学びに引き寄せるなら、同じマニュアルや、研修動画を見ることに加え、「自分の仕事では何を確かめたいか」を持ち寄ることが大切だと思います。

例えば、新しい器材の使い方を学ぶ場面を考えてみましょう。歯科医師は使用する目的に関心を持ち、アシスタントは準備する順番や保管場所に疑問を持つかもしれません。

どちらも、診療を進めるために必要な視点です。「そこがわかりにくかったのですね」と気づければ、説明する側も自分の伝え方を見直せます。

一緒に学ぶとは、全員が同じ知識や技術を持つことではありません。違う役割から出てくる疑問を、同じ場で扱えるようにすることだと考えています。

練習で扱う題材は、日常の小さな困りごとでよいと思います。
「名前が似た器具をどう区別するか」「予定が変わったとき誰に知らせるか」。

答えを一方的に覚えてもらう前に、どこで困るのかを聞く。

教材を増やすより、まず一つの疑問に答える時間をつくりたいですね。短い時間でも、全員が一度ずつ話せる場にしたいと思います。

2.「いつもの」で伝わると思っていませんか?

慣れたメンバー同士では、短い言葉で仕事が進むことがあります。
ただ、新しく入った人には、その短さが難しさになるかもしれません。

「いつもの準備でお願いします」。そう伝えたとき、何が含まれ、何を確認するのか。教える側が言葉にできているでしょうか。

私は、練習の場で、依頼する側と受ける側の説明を並べてみることを提案したいです。必要な物、準備する時点、変更があった場合の相談先を、それぞれの言葉で説明してみるのです。

そこで理解の違いが見つかったら、相手の記憶力だけを問題にしない。
言葉の省略、置き場所のわかりにくさ、確認するタイミングなど、仕事の進め方も見直したいですね。

なお、ここでいうアシスタントは、主に歯科助手を想定しています。

一緒に学ぶことを、診断や治療判断を任せることと混同しないようにしたいと思います。

それぞれの資格と業務範囲を守り、迷ったときには歯科医師へ確認する。その線引きも共有する学習内容です。

また、患者様の前で説明が食い違った場面を想定して、誰が確認し、誰が説明を引き継ぐかも相談しておきましょう。
その場しのぎで話を合わせるのではなく、不明な点を確かめてから伝える。
歯科医師が対応するまでの声のかけ方も練習できます。

3.振り返りは、次の一回を変えるために

米国の医療研究・品質調査機構が示すチーム教育では、業務後の振り返りで、何がうまくいき、何を改善できるかを確認し、個人を責めることを避けるよう説明されています。[2]

歯科医院でも、長い反省会を毎回開くことだけが方法ではないと思います。
まずは一つの場面について、「助かったこと」「迷ったこと」「次に試すこと」を感謝して話す。そのくらいから始めてもよいのではないでしょうか。

例えば、準備のやり直しがあったなら、早く動くよう求める前に、変更内容がいつ伝わったかを確かめる。
必要な情報がそろっていなければ、経験のある人でも動きにくいですよね。

歯科医師からも、「自分の説明が曖昧でした」と言えることを大切にしたいです。役職や経験年数にかかわらず、自分の仕事を見直す姿勢は、共に学ぶうえで欠かせないと思います。

4.教える力も、勤務医時代の大切な力

最後に大切なことをお伝えします。

新しい技術を学ぶとき、先生方は自分ができるようになることに目を向けると思います。

そこに、関わるメンバーが何を理解しておく必要があるか、という問いも加えてみてください。

説明してみると、自分でも理由を曖昧にしていた部分に気づくことがあります。すぐに答えられない質問は、調べて返す。わからないことを、そのままにしない姿勢を共有したいですね。

学習の成果も、受講した回数だけではなく、相談の仕方が具体的になったか、確認した内容が次の場面で使えたか、という行動で振り返ってみませんか。

勤務先を見学する先生には、歯科医師がスタッフにどうコミュニケーションをとっているのか?スタッフからの質問にどう答えているか?についても、見ていただきたいと思います。

説明を聞く人の視点を尊重する職場かどうか。そこには、一緒に働く姿を考える手がかりがあります。

先生の知識と、アシスタントの気づき。その両方を診療に生かせる関係を、一つずつ育てていきましょう。

引用・参考文献

[1] World Health Organization. Framework for Action on Interprofessional Education & Collaborative Practice. 2010, p.7. WHO掲載ページ・本文PDF(Interprofessional.Global掲載のWHO原文)。閲覧日:2026年10月15日。

[2] Agency for Healthcare Research and Quality. Reviewing the Team’s Performance: Debrief. 2023(同年12月レビュー)。本文。閲覧日:2026年10月15日。