理事長ブログBlog

9112014
臨床・症例について

東京歯科大学衛生学講座助教・石塚洋一君の「歯磨剤・洗口剤に何を期待する?」を読んで。

石塚洋一君の「歯磨剤・洗口剤に何を期待する?」を読んで。
歯科衛生士さん向けの専門雑誌、デンタルハイジーン2014年8月号「実は奥深いTBIのエビデンス」
の特集の中で、大学時代の同級生・東京歯科大学衛生学講座助教の石塚洋一君が論文を書いていました。

 

「歯磨剤・洗口剤に何を期待する?」と題して、歯磨剤、洗口剤、歯科衛生士がそれらを進める際のポイントを記載していました。
以下の3つのポイントがとても参考になりました。

1.歯磨剤について、Davisらの文献1)より、「歯磨剤を使用したブラッシングは、未使用と比較し、プラークの再付着が抑制されたこと」、コクランデータベースシステマティックレビュー2)より「フッ化物配合歯磨剤の使用が齲蝕予防に欠かせないこと」を引用していました。

歯磨剤、とくにフッ化物配合歯磨剤の使用の有効性が示されています。ただ、つけすぎると、発泡材のためにブラッシングしにくくなるので小指の爪程度の量をつけることをおすすめします。

2.洗口剤は補助的なものであり、重要なのはブラッシングであることが説明されていました。

そう、洗口剤を使っているから、歯ブラシしなくていいでしょ?と思っている方がたまにいるのですが、それは間違いです。プラークを除去するのはやはりブラッシングによる機械的除去が一番重要です。洗口剤でプラークの増殖を押える程度のものと考えるといいかと思います。

 

3.歯科衛生士が歯磨剤・洗口剤を患者様に勧めるポイントとして、実際に自分で試してみて、患者様ごとに合ったものを提案することを示していました。

これもすごく同意します。歯科医師として、やはり自分で試して、本当にいいものを患者様におすすめしたいと思います。歯科衛生士さんにもそうあってほしいと思っています。

この論文のなかにもあるように、ブラッシングは、う蝕と歯周病を予防するためにとても重要です。

う蝕も歯周病も、歯面についたプラークが原因となって発症します。

その中でも、う蝕の予防のためには、フッ化物配合歯磨剤は効果的です。

 

また、歯周病の予防のためには歯頚部へのスクラビング法を中心としたブラッシングが有効です。

ぜひ、患者様にも、歯磨剤・洗口剤の特性を理解してもらい有効利用し、虫歯フリー・歯周病フリーの口腔内を実現をしてもらいたいと思います。
1) Cleaning and polishing of teeth by brushing.Davis WB.Community Dent Oral Epidemiol. 1980;8(5):237-43.
2) Cochrane Database Syst Rev. 2003;(1):CD002278. Fluoride toothpastes for preventing dental caries in children and adolescents. Marinho VC1, Higgins JP, Sheiham A, Logan S.