理事長ブログBlog
30under30スピンオフ講座二階堂先生講演、エビデンスレベル、MISTについて
30アンダー30スピンオフ講座を当院で行いました。多くの先生に参加していただき開催することが出来ました。本日は、歯周病に関する二階堂先生の講演をもとにみんなで知識をシェアしました。今回も若手の情熱ある先生と話が出来ました。彼ら彼女たちのしっかり考えて行動している姿に僕自身が刺激を受けました。
講演での大切なポイント
二階堂先生の話の中で、大切だと思ったことを自分の備忘録として残しておきます。1.10%の患者さんは重症化する。その患者さんへのアプローチをしっかり行う。先生は4つのストラテジーを低減していました。・Hyper responderを見逃さない。進行具合と、年齢が重要な要素になる。若いのに、歯茎赤い。20代なのに骨欠損ある。そういう患者さんには、優しく。人知れず悩んでいる。プラークコントロール良好なのに、進行する。若年者で発症する糖尿病のように、国民に知らしめていけないといけない。まずは歯科医療従事者がその認識をしっかり持つ。2.リスクに応じた治療計画を考える・90%の患者さんはSRP+SPT。その根拠となる論文2本提示ありました。・4STRATEGIESを重度歯周炎には適応する3.歯周再生療法・単根歯は適応していく。分岐部病変は要注意です。成長因子剤のの可能性高い。
今回の講演会の中であった興味のあるトピックス
★エビデンスレベルの重要性
論文エビデンスを知るということは、先輩の失敗を知るということ、そのフレーズがとても印象に残りました。現代の医療従事者である僕たちは、かつての試行錯誤のその上に現在の治療を積み重ねていく、学んでいくことができる。先人の試行錯誤や過ちを、今の先生がしてはいけない。論文を読むという作業は必要になりますが、とても大切なことです。
★エビデンスピラミッドについても話をさせてもらいました。
もっともエビデンスレベルの高いレビュー系の論文を読もう。そして、エビデンスレベルのもっとも低いものに専門家の意見というものがあります。根拠として拠り所になる信頼性の高いレビュー系の論文をしっかりと読み、自分の判断基準にしようというものです。歯科には、往々にして、だれそれが言ったから正しい、というドグマがあるように感じます。これはエビデンスレベルという観点からは、本当は信頼性が高くありません。当然、歯科医療は、外科に属するものなので、内科学で重要視されるエビデンスとは違い、術者の技術差という要素も絡んできます。また歯科医療はサイエンス&アートと呼ばれるように、アートの部分もあります。審美修復や審美補綴のように統計を取ってエビデンスを取りにくい部分もあります。そういうところはアートの割合が高いと感じます。当然、システマティックレビューが出てる、RCTがなされている分野は歯科においても限られています。それ以外の部分はいろいろな論文や、専門家の意見も重要になると思います。論文を読む、根拠を知るということを積み重ねていくと、自分でジャッジができるようになります。そして、自分の習得している話がエビデンスピラミッドのどのレベルの話なのかしっかりと意識することも重要だと思います。
★おすすめ書籍、「クリティカル・シンキング」
この本は、できるだけわかりやすく噛み砕いてエビデンスというもの、クリティカルシンキングについて解説してくれています。ぜひ若手ドクターには読んでおいてもらって欲しい一冊です。
★新しい歯周病の分類。
2017年のユーロペリオとAAPのワークショップで決定した、新歯周病分類についての話もありました。分類の改定はおよそ20年ぶりのことです。今回の新分類では、慢性歯周炎・侵襲性歯周炎という分類がなくなり、グレードとステージによって歯周病の進行を把握するようになるそうです。これから日本歯周病学会でも反映した分類が明示されることでしょう。
★MIST
Minimally invasive surgical techniqueの略です。最小限の侵襲での歯周外科テクニック。最小限の切開剥離での歯周外科治療。これからの超高齢社会を迎えるにあたって意義を感じました。精密な切開の必要からマイクロブレードやマイクロ用の器材、視覚強化のマイクロスコープやルーペの使用必要になるものも多いですが、低侵襲の歯周外科というコンセプトのもとに治療を進めていきたいと思います。
★ペリオスコピーシステム
興味深かったです。医院での導入で得られる臨床レベル向上を感じました。直接診るということが、患者さん理解、医院教育、臨床レベルを上げてくれそうでとても興味がでました。縁下歯石など、問題点の視覚化はとても意義を感じます。 また明日からの理事長として、臨床・教育・マネジメントに頑張っていきたいと思います!