理事長ブログ
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「有意差がありました」の先を読む
論文や講演で「統計学的に有意な差がありました」と聞いたとき、そこで納得してしまっていないでしょうか。私が若い先生と確かめたいのは、その差がどれくらいで、患者様の何を変えるのか、ということです。
米国統計学会の声明は、p値や統計学的有意性が、効果の大きさや結果の重要性を表すものではないと説明しています。[1] 小さな差でも有意になることがありますし、有意でなかったことだけで、効果がないとも言えません。
「20%減った」を人数で確かめる
ここでは計算を説明するために、架空の例を使います。実際の治療成績ではありません。
同じ期間にある出来事が起きた人が、一方では100人中10人、もう一方では100人中8人だったとします。10人を基準にすると20%少なくなっています。一方、100人を基準にした差は2人で、割合の差は2パーセントポイントです。
「20%少ない」とだけ聞く場合と、10人と8人を並べて見る場合では、印象が変わると思います。だからこそ、もとの割合と比較した期間も一緒に示したいのです。
ただし、この数字だけでは、その差がどの程度確かなのかは分かりません。実際の研究では、研究方法や人数、信頼区間なども確かめる必要があります。[1] 有意差を読むことと、差の大きさや不確かさを読むことを、まとめて習慣にしたいですね。
その研究は、何を調べたのか
痛みを調べた研究なのか、歯がどれだけ長く残るかを調べた研究なのか。似た治療の論文でも、答えている問いは同じとは限りません。ある結果が良かったからといって、調べていない結果まで良くなると説明しないようにしたいと思います。
読んだ後に、患者様へ伝えるつもりで短く書いてみてください。「どのような方を対象に、何を比べ、どのくらいの違いがあったか」。そして、「この患者様に当てはめるには、何を確かめる必要があるか」。
この説明が書けなければ、結果の表や対象の条件をもう一度見に戻ります。勉強会でも、p値を報告したところから、もう少し話を続けてみたいですね。
引用・参考文献
[1] Wasserstein RL, Lazar NA. The ASA’s Statement on p-Values: Context, Process, and Purpose. The American Statistician. 2016;70(2):129–133. 2016年。 DOI: 10.1080/00031305.2016.1154108。 https://www.stat.berkeley.edu/~aldous/Real_World/ASA_statement.pdf (閲覧日:2026年10月17日)