理事長ブログ

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1092026
研修・講演

AIの回答を読んだあと、自分の言葉で説明できますか

生成AIに質問すると、きれいにまとまった文章がすぐ返ってきます。便利ですね。ただ、読んで分かった気になることと、自分で説明できることには、少し距離があると思います。これは自分自身にも言い聞かせています。

若い先生には、答えを読んだところで終わらず、一度画面を閉じて説明してみてほしいです。どんな条件の話で、何が分かっていて、何がまだ分からないのか。言葉に詰まるところが、次に調べるところです。

論文名が出てきたら、原文を開く

WHOは、医療に関わる生成AIについて、誤りや偏りを含む回答、出力を過信することなどの危険を指摘しています。[1] 読みやすい文章だからといって、内容まで正しいとは限りません。

論文が示されたら、まず実在するかを確かめます。次に、その論文が本当に、説明されている内容を調べたものかを読みます。対象となった患者様、比較した治療、調べた結果、観察期間。論文名が合っていても、本文の説明が合っているとは限らないからです。

見つからない文献や確認できない数字は、いったん保留にしましょう。患者様への説明資料に移す前に、確かめられる形にする。そのひと手間は省きたくありません。

学習のための質問と、患者様の情報を分ける

厚生労働省が公開する歯科医師臨床研修指導ガイドラインにも、施設の規程を前提に、AIの出力を一次資料で確かめることや、患者情報を入力しないことが示されています。[2]

まずは患者様の情報を含まない一般的な学習課題で使い、何を質問し、何を原文で確かめたかを残してみてください。指導医に相談するときにも、自分がどこで迷ったのかを伝えやすくなります。

患者様からAIの回答について相談された場合には、どのような情報を見て、何が気になったのかを伺いたいと思います。一般的な説明と、その方の診察結果を分けてお話しする必要があるからです。

AIに答えを聞く前より、自分の疑問がはっきりしたか。私は、そこを学習の目安にしたいです。答えを写すだけでは残ったままだった疑問を、一つずつ自分で確かめていきましょう。

引用・参考文献

[1] World Health Organization. WHO releases AI ethics and governance guidance for large multi-modal models. 2024-01-18。 https://www.who.int/news/item/18-01-2024-who-releases-ai-ethics-and-governance-guidance-for-large-multi-modal-models (閲覧日:2026年10月17日)

[2] 厚生労働省医政局歯科保健課・令和7年度厚生労働行政推進調査事業『新たな歯科医師臨床研修到達目標を踏まえた歯科医師臨床研修指導ガイドライン構築のための調査研究』研究班『歯科医師臨床研修指導ガイドライン―2025年度版―』 2026年3月。 第2章6(2)「情報・科学技術」、冊子15–16頁(PDF15–16枚目)。 https://www.mhlw.go.jp/content/001744533.pdf (閲覧日:2026年10月17日)