理事長ブログ
Blog
【若手Dr向け】紹介先に伝わる紹介状を書くために
こんにちは。医療法人志結会おざき歯科医院、理事長の尾崎亘弘です。
紹介状を書き終えたら、受け取る先生の立場で読み返してみてください。「何を相談されているのか」「どこまで診療が進んでいるのか」が、すぐにわかるでしょうか。
診断名や検査結果を並べるだけでは、こちらが判断に迷っている点が伝わらないことがあります。私は、まず相談したいことを一文にしてから、必要な経過や所見を整理する方法を勧めます。若手の先生が上級医に紹介状を見てもらうときにも、その一文があると、相談の理由を話しやすくなります。
依頼することを、先に書く
「ご高診をお願いいたします」という挨拶に加えて、診断について意見をいただきたいのか、治療を依頼したいのか、歯科治療に際して確認したいことがあるのかを記します。相手にお願いする判断を、書類の最後まで探してもらわずに済むようにします。
日本医療情報学会が管理するJP-CLINSの診療情報提供書の実装ガイドでは、紹介目的、症状経過と検査結果、治療経過、現在の処方などが別の項目として整理されています。[1] 電子文書を扱うための技術仕様ですが、紹介状にどの情報を分けて記すかを確認する資料として使えます。
ただし、この仕様から、特定の書き方によって治療成績が改善するとまでは言えません。ここから先は、紹介状を見直す際の私からの提案です。
例えば「追加の精査が必要か、ご評価をお願いいたします」という記載例なら、その判断をお願いする理由となった所見と、実施済みの検査を続けて書きます。これは書き方の例で、実際の患者様の症例ではありません。目的を一文にできないときは、自分の疑問がまだ整理できていないのかもしれません。そこから上級医に相談してよいと思います。
確認した事実と、まだわからないことを分ける
検査や画像には、実施日や撮影日を添えます。服薬情報も、いつ、何をもとに確認したものかがわかるようにします。患者様から聞いた内容と、他院からの文書で確認できた内容は、同じ確かさの情報として扱わないことが必要です。
以前の紹介状を使う場合には、今回も変わっていないと確認できた部分を見直します。更新を確認できていない情報を、現在の状態として書かない。確認できなかったことは、そのまま未確認と記します。
また、行った治療と、検討している治療を分けます。「説明した」「希望されている」「実施した」も別の事実です。短くまとめようとして、この違いが消えないようにします。
添付画像があるなら、本文で述べた部位や撮影日と一致しているかを確かめます。所見を詳しく書いていても、必要な画像が入っていなければ、受け取った側で確認が増えます。送付前には患者様の氏名、宛先、添付資料を照合し、不要な情報を含めないようにします。
急ぎの相談では、紹介状を送ったことと、相手が受診を受け入れたことは同じではありません。紹介先の受付方法を確認し、必要に応じて直接連絡して、受診の段取りを確かめます。書類だけで連絡が済んだと思い込まないようにしたいところです。
患者様への説明と、返書の後まで考える
患者様には、紹介する理由と、紹介先で何を相談するのかを説明します。専門的な評価をお願いする段階なのに、紹介元で「必ずこの治療になります」と決めつければ、紹介先の診察結果と食い違うことがあります。決まっていることと、診察後に判断することを分けて伝えます。
受診先、予約の方法、持参する物も確認します。説明を聞いた患者様が、次に何をすればよいかわかっているか。通院の難しさや心配な点がないか。紹介状の作成とあわせて、本人の希望と必要な情報の共有範囲を確かめます。
紹介後も、どこで、どの診療を続けるかを確認する必要があります。専門的な治療が終わったら紹介元へ戻る予定なのか、経過観察も紹介先にお願いするのか。双方の理解を確かめ、患者様にも説明できるようにします。
返書を受け取ったら、相談した問いへの答えと、今後こちらに求められている対応を確認します。まだ判断できないと書かれた点を、問題がないという意味に読み替えてはいけません。内容が曖昧なら、次の診療に進む前に紹介先へ問い合わせます。
紹介を受ける側も、行った検査や治療、今後の方針、紹介元へお願いしたいことを分けて返します。一通の文書にすべてを詰め込むより、相手が次に何を確認し、何をするのかわかることを重視したいと思います。
若手の先生には、紹介状と返書を並べて読み返すことを勧めます。こちらの質問は伝わったか。足りなかった情報は何か。その確認を次の一通に生かすことが、紹介状を書く練習にもなります。
引用・参考文献
[1] 一般社団法人日本医療情報学会(管理).電子カルテ情報共有サービス2文書5情報+患者サマリー FHIR実装ガイド JP-CLINS v1.13.0「診療情報提供書」.ページ生成日:2026年8月31日(Generated表記).閲覧日:2026年10月17日. 原典