理事長ブログ

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1022026
研修・講演

【研修先を選ぶ皆さんへ】見学で確かめたい「一年後の自分」と指導のあり方

こんにちは。医療法人志結会おざき歯科医院、理事長の尾崎亘弘です。

研修先を選ぶとき、皆さんは何を見ていますか?設備、症例数、立地、待遇。どれも大切ですよね。でも、見学から帰るときに、もう一つ持ち帰ってほしいものがあります。それは「ここで一年学んだ自分の姿」です。

どんな処置を経験できるか。その経験を、誰と、どのように振り返れるか。今回は、臨床研修先を考える歯学生の皆さんに、見学で確かめたい視点をお伝えします。

1.一年後の自分を、言葉にしてみる

「臨床ができるようになりたい」。その気持ちを、少し具体的にしてみましょう。例えば、患者様の困りごとを聞き、必要な情報を整理して、診療計画の理由を説明できる。自分の判断が難しい場面では、適切に相談できる。そんな姿です。

厚生労働省が公開する臨床研修指導ガイドラインでは、研修の目標に診療技能だけでなく、患者様の意思決定の支援、チーム医療、自らの診療を振り返る姿勢も含まれています。[1]

そこで見学前に、「一年後にできるようになりたいこと」をまず三つ書いてみてください。難しい専門用語でなくて構いません。「検査結果を患者様にわかりやすく説明したい」でもよいと思います。

見学では、その目標に向かう道筋を聞いてみましょう。最初の一か月は何を学び、どの段階で診療に参加するのか。研修が複数施設にまたがるなら、どこで何を学ぶのか。自分の希望と、プログラム全体のつながりを確かめたいですね。

2.「質問できますか?」を、もう一歩具体的に

「わからないことは聞いてください」と言ってもらえると安心します。でも、診療中に迷ったとき、誰に、どう声をかけるのかまで想像できていますか?

例えば、見学時の質問として「指導担当の先生が別の患者様を診ているときは、どなたに相談しますか」「初めての処置に入る前は、何を確認していただけますか」と聞いてみる。これは、教育体制を具体的に知るための質問です。

また、先輩の手技を見るときは、手の動きに加えて、判断の理由にも目を向けてみてください。なぜその検査を選んだのか。なぜ今、その処置をするのか。説明を聞く時間があると、見え方も変わるのではないでしょうか。

早く任されたい気持ちは自然です。一方で、自分の限界を伝えることも歯科医師の大切な仕事だと私は考えます。「ここまでは考えましたが、この点に迷っています」と相談する。その姿勢を育てられる場所かどうかも、見てほしいと思います。

3.診療の後に、どんな学びが待っているか

一日の診療が終わったとき、「今日は忙しかった」で終わるのか。「次はここを変えてみよう」と持ち帰れるのか。私は、この違いにも注目してほしいと思っています。

同ガイドラインでは、指導歯科医の役割として、到達状況の把握や定期的なフィードバックが示されています。[1]見学では「振り返りは、いつ、誰と行いますか」と聞いてみてください。

例えば、患者様への説明について、伝えた内容は適切だったか、理解を確かめられたか、次の説明では何を工夫するか。このように、一つの場面を具体的に振り返ることを想像してみましょう。

評価の説明を聞くときも、点数だけに注目せず、次の練習や学習につながる助言があるかを確かめたいですね。苦手なことを把握して、やり直す機会を相談できるか。研修先を選ぶ側にも、そうした問いを持っていてほしいと思います。

4.自分が学びに参加する姿を考える

見学は、施設から説明を受けるだけの時間ではありません。自分が何を大切にして、何を学びたいのかを伝える機会でもあります。

まだ将来の専門分野が決まっていなくても大丈夫です。「患者様の話を聞く力をつけたい」「歯科衛生士や歯科技工士との連携を学びたい」。今の関心を、自分の言葉で話してみてください。

もちろん、勤務時間や休暇、待遇、通勤も確認しておきましょう。無理なく学び続けられるかは大切な判断材料です。教育への期待と生活の条件を、両方並べて考えてよいのです。

見学後は、印象が残っているうちに、目標、相談先、振り返りの方法をメモしてみてください。よかった点と、まだわからない点を分けると、次に確認したいことが見えてきます。

複数の施設を見学するなら、同じ質問をしてみるのもよい方法です。答えの違いは、施設の優劣だけを表すものではありません。扱う患者様や教育の考え方も異なります。自分が大切にしたいことと照らし合わせ、納得して選ぶための材料にしてみてください。

私たち教える側も、「どんな一年を一緒につくるのか」を具体的に語れるよう、教育のあり方を考え続けたいですね。若い歯科医師の成長を、地域の患者様へのよりよい診療につなげたい。そのための最初の対話が、見学なのだと思います。

皆さんは一年後、患者様や仲間から、どんな歯科医師として頼られたいですか?その答えを、研修先で出会う先生方と話してみてください。

引用・参考文献

[1] 厚生労働省医政局歯科保健課・令和7年度厚生労働行政推進調査事業「新たな歯科医師臨床研修到達目標を踏まえた歯科医師臨床研修指導ガイドライン構築のための調査研究」研究班『歯科医師臨床研修指導ガイドライン―2025年度版―』2026年3月。第1章「到達目標」、第4章「指導体制・指導環境」。https://www.mhlw.go.jp/content/001744533.pdf (閲覧日:2026年9月29日)。