理事長ブログ
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ウェビナーの活用――診療の疑問からトピックを選び、学んだことを確かめる
ウェビナーは、インターネットで受けるセミナーです。遠くの会場まで出かけなくても、関心のある先生やジャンルの講義を聞けます。日々診療に忙しい中勉強したい歯科医師にとって、ありがたい学び方ですね。
ただ、申し込む講座を増やせば、その分だけ診療が変わるわけではありません。
私は、聞き終えたあとに「あの内容を取り組もう」と思える受け方を勧めたいです。
今回は、若い先生がウェビナーを日々の勉強に取り入れる方法をお話しします。
今、診療で迷っていることから選ぶ
セミナーを探す前に、自分が困っていることを書き出してみてください。
根管治療の診断なのか、う蝕の管理なのか、患者様への説明なのか。
「勉強しなければ」と広く探すより、聞きたいことがある方が選びやすくなります。
例えば、歯周治療の再評価で迷っているなら、歯周病の動画を見るのではなく、基本治療後の所見をどう読むかを扱う講座を選ぶ。
今の経験に合う内容を探すことが、受講後の復習にもつながります。
海外にも、大学が協力して歯科医療者へ講義を届ける取り組みがあります。
継続歯科教育の団体ACDEは、加盟校と共同でライブのウェビナーを提供しています。[1]場所の制約が少ない分、普段は接点のない分野や先生の考えに触れられるのも魅力です。
選ぶときは、講師名だけでなく、対象者と講義の範囲を見ます。
初心者向けの説明なのか、基本を習得した人のための応用なのか。
主催者、開催日、引用文献、協賛企業も確認します。
製品の紹介を聞く回なら、その製品以外の選択肢についても調べておきたいですね。
聞きたいことを一つ用意しておく
受講前の準備は、立派な予習ノートを作ることではありません。
「この所見なら、どこで方針を変えるのか」など、自分の疑問を一つ書いておくだけでも十分です。
講義中は、スライドを書き写すことに追われなくてよいと思います。
疑問への答えが出たところ、まだ納得できないところに印を付けます。
録画を見返せる講座なら、気になった時刻を控えておくと、あとで探しやすくなります。
ライブ配信では、質問できることも利点です。
質問を送る際は、講義のどの説明について聞きたいのかを短く伝えます。
録画配信なら、分かりにくかった部分で止め、手元の教科書と見比べる使い方もできます。
一度で全部を理解しようとせず、必要なところへ戻れるのが便利です。
配信期限と資料の利用条件は、申し込みのときに確認しておきます。
画面で学び、実習で確かめる
オンラインの学習で、どこまで身に付くのか。
歯学部学生85人を対象に、咬合の分析について講義とオンライン自習を比べた研究があります。
直後の知識習得は講義が優れ、6週間後の試験では群間に統計的な差は認められませんでした。[2]
これは2009年の研究で、現在のウェビナー全般や、患者様を治療する技術を評価したものではありません。
それでも、学ぶ内容と確かめ方を分けて考える参考になります。
講義を聞けたことと、手技ができるようになったことは、別々に確認する必要があります。
例えば、形成の動画で器具の向きが分かったら、模型で試して指導者に見てもらう。
うまくいかなければ、その箇所をもう一度見る。
予習と実習を行き来する使い方なら、画面で得た知識を自分の動きと結び付けられます。
治療法を取り入れる際も、講師の症例と目の前の患者様の条件を比べることが先です。
適応や避けるべき条件、必要な設備を確かめ、経験のある先生に相談します。
講義で紹介された方法を、そのまま翌日の患者様で試すことは勧めません。
受講後の時間も予定に入れる
講義が終わったら、メモを閉じる前に、自分の疑問にどう答えるかを書いてみます。
説明できなければ、どこが分からないのかを残しておけば大丈夫です。
受講予定を入れるときに、翌週の復習時間も確保しておくとよいと思います。
見直す資料を探すところから始めずに済むよう、講座名と文献の所在もメモに残しておきます。
同じ講座を受けた仲間がいれば、気になった点を話してみてください。
同じ説明でも、受付、歯科衛生士、歯科医師では受け止める場所が違うことがあります。
長い発表資料を作らなくても、話したい部分と元の資料があれば相談を始められます。
院長や指導者には、受講本数を増やすだけでなく、こうした復習や相談の時間を取りやすくする工夫をお願いしたいです。
学ぶ機会が増えても、毎晩の予定を講義で埋めてしまっては続きません。
疲れている日は休み、無理なく学べるペースを探してください。
ウェビナーで出会った考えを、本や論文で確かめ、仲間と話し、実習で試す。
私は、そんな使い方が好きです。
次の講座は、いま診療で気になっていることから選んでみてください。
聞きたかった答えが見つかると、勉強はまた面白くなります。
引用・参考文献
[1] Association for Continuing Dental Education(ACDE).Webinar Series.年記載なし. 閲覧日:2026年10月22日。
[2] Peroz I, Beuche A, Peroz N.Randomized controlled trial comparing lecture versus self studying by an online tool.2009.Med Teach. 31(6):508–512. DOI:10.1080/01421590802203504. PMID:19811166. 原著抄録を参照。 閲覧日:2026年10月22日。