理事長ブログBlog

8162023
日々のこと

若手歯科医師のみんなへ、EBMにおける「PICO」を知っていますか?

医療法人志結会おざき歯科医院理事長の尾崎です。

当法人では、7つのビジョンの第一に、「世界最高水準の医療を提供する」ことを掲げ、最新のエビデンスに基づく診療を心掛けております。

その一環として、歯学部生、若手歯科医師の皆さんにもEBMの基礎、特に「PICO」について理解してもらえたらと思い今回のブログを執筆します。

そもそも、EBM(Evidence Based Medicine)とは何でしょう?

EBMは「エビデンスに基づく医療」を意味し、最新の研究結果やデータを臨床に活かしていく考え方です。

臨床上の疑問点をどう解決していますか?

先輩に聞く?院長に聞く?セミナーの先生に聞く?本を読む?全部疑問点の解決には有効です。

先輩に聞く、これよく行いますよね!僕もしていましたし、今でもしています。しかし、先生によって言っていることが違って困ることもありませんか??聞く先生によって違うことを言われたり、場合によっては怒られたり、、、若手ドクターあるあるですよね。

その時に、有効な調べ方に論文検索があります。

Pubmedやコクランライブラリーの名前を知っている先生も多くいると思います。

では実際に調べている先生はどれくらい要るでしょう?またどう調べたらいいかをわからない。。。。

って方もいるかも知れません。

その時に、効率的な思考法にPICOのフレームワークの活用法があります。

大量の情報から関連するエビデンスを見つけ出すのは至難の技。

この材料は有効なのかな?このテクニックは有効なのかな??それを形式立ててまとめたものを、臨床上の疑問をクリニカルクエスチョン(CQ)と言います。

 

そしてこのCQを設定するときに活躍するのが「PICO」というフレームワークです。

ここでは、EBMにおける「PICO」について解説します。ぜひ歯学部生、若手歯科医師に理解してほしいと思います。

 

PICOって何?

PICOは、臨床の疑問を構造的に整理するための方法です。以下のように、4つの要素から成り立っています。

  1. P (Patient/Problem): 患者の特性や問題は何か?
  2. I (Intervention): どのような介入や治療を考えているか?
  3. C (Comparison): 他のどの治療や介入と比較するか?
  4. O (Outcome): どのようなアウトカムや結果を期待するか?

例えば、ある治療法Aが、既存の治療法Bよりも効果的かどうかを知りたい場合。PICOを使って疑問を整理すると、

  • P: 審美治療を希望する30代の患者
  • I: 治療法A(例えばラミネートベニア修復)
  • C: 治療法B(例えばオールセラミッククラウン修復)
  • O: 治療後6ヶ月での持続性や効果

このように、疑問をPICOで具体的に分解することで、関連する論文やエビデンスを効率よく探せるようになります。

 

若手歯科医師とPICO、そして当法人のビジョン

当法人は、EBMを基軸とした質の高い治療を提供することを目指しています。

若手の皆様には、ぜひ新しい知識や技術を実践し、当法人でさらに豊かな歯科医師人生を手に入れて欲しいと考えています。

 

PICOの活用は、患者様に対する治療やその予後に関する新しい情報を取り入れるための一つの手法です。実際の臨床で直面する問題や疑問に対して、客観的なエビデンスを元に答えを導き出すスキルは、今後の診療において非常に価値があります。歯科界には得てしてエビデンスのない、権威者の発言が重要視されてしまう側面があります。エビデンスの蓄積のないところに関してはこれら専門家の意見も重要ですが、とくにこの2010年以降多くのシステマティックレビューも出てきています。

私たちは、PICOを活用したエビデンスベースのアプローチを持つ若手歯科医師を求めています。そして、そうした先進的な思考を持つ皆様とともに、地域の皆様に最良の治療を提供していきたいと考えております。

最後に

EBM、そしてPICOは、現代の歯科医療において必須のスキルです。当法人での勤務を考えている若手の皆様には、この考え方を是非とも身につけていただきたいと願っています。一緒に、EBMに沿った最先端の知識と技術で、患者さんの笑顔を増やしていきましょう!

P.S.

とくにここ10年システマティックレビュー(SR)・メタアナリシス(MA)、が充実してきているので、新たな知見に気付かされることも多いと思います。ぜひ最近調べていないよって先生も検索してみることをおすすめします。

そして、最近ではブラウザーの翻訳機能(たとえば、クロームの翻訳機能)も精度が上がってきているので、日本語でざっと意味を把握したいときもとっても便利です。いい時代になったものです。

 

EBMを実践したい!と考えている若手歯科医師・歯学部生の方はぜひ、当院HPメッセージや尾崎亘弘FB、インスタ、twitterからお問い合わせ、お待ちしております!

医療法人志結会おざき歯科医院 理事長 尾崎亘弘