理事長ブログBlog

1312023
日々のこと

メメント・モリ 〜歯科医師への遺言〜

メメント・モリ 〜メンバーへの遺言〜

志結会・おざき歯科医院で働いてくれているメンバー、働いたことのあるメンバー、これから働こうかなと思う未来のメンバーに告ぐ。

もしも自分が亡くなったあと、これを読んでくれるメンバーがいて、その人の人生に少しでも良い影響を与えることができななら、僕が生きた意味があると思います。

僕自身は41歳、まだまだ元気だが、書いておいて損はないと思い、書き記します。メメント・モリ。

僕がここ志結会に存在する意味は、、、歯科という口の健康を通じて、関わるすべての人たちが、経済的にも豊かになれる、精神的にも豊かになれる、、そのための仕組みをつくり、勇気づけ、支援をするためです。

 

若手の先生への遺言です。

幸せな未来を築いてほしい。この歯科医師という仕事を通じて、精神的にも豊かに経済的にも豊かになってほしい。歯科界の未来を作るのは君です。

大切なポイントは、マインド→学術→マネジメント→人生としての成功、というステップがあるということです。この順番が大切だと思っています。

マインドの大切さ

東京歯科大学を設立した、血脇守之助先生が言った言葉。「歯科医師であるまえに人間たれ。」

稲盛和夫さんが説いています。人生の結果は、「考え方✕能力✕熱意」で決まると。自分なりに解釈すると、

能力は0〜100。熱意(行動)は0〜100。考え方(マインド)は−100〜+100。どれだけ能力が高くても、熱意(行動)がなければ結果は生まれません。

そして考え方がマイナスだと、結果はマイナスになります。

多くの優秀な臨床家・経営者を20年以上見てきて、これは本当に当てはまると思います。あなたはどうでしょう。

マインド(考え方)はプラスからマイナスまであります。

人生で結果を出す(自分の思った通りの人生を送る)には、このマインドがプラスにもマイナスにも働きます。どうせならプラスの結果をもたらすために、プラスの考え方を選びましょう。

そのためには、臨床と一見関係ないような、ビジネス書もたくさん読みましょう。世の一流と言われる人にあって話を聞いてみましょう。自分の価値観と世界が広がり、視座が高まります。

 

臨床の追求

まずは、臨床を追求していってほしい。

そしてプライベートも充実させてほしい。年齢を重ねたら、臨床を追求することで、プライベートを崩壊させないでほしい。

公私共に幸せになって欲しい。

仕事は、歯科医師としての学術の追求。その上で臨床への還元。後輩の育成。

この歯科という道は素晴らしい。

自分の家族を自信を持って治せる歯科医師になってほしい。

保険医療で「多く」の良質の医療を提供できること。これも大切。

ただ保険でカバーされている範囲は限定されている。だから、自由診療も含めて、咬合と炎症をコントロールできる歯科医師になること。

欠損に対して適切なインプラント治療で、バーティカルストップを作れること。不正咬合を治せる、矯正治療ができること。

炎症のコントロールのしやすい口腔内環境をつくれること。歯周外科も必要です。

長期予後を診ていこう。歯科治療の結果は、後から跳ね返ってきます。自分のした歯牙の5年予後、10年予後を診ていこう。自分が予防の観点から残した歯の予後を診ていこう。エビデンスは蓄積されてきています、その上で自分のした臨床判断が適切だったかフォローしてきましょう。

究極の治療は、治さなくても良いこと。

いかに良い治療をしてもそれは、ひとが介入するもの、やっぱり天然歯に勝る材質はありません。

究極は、自分の歯を生涯残せること。むし歯と歯周病にないこと。

そのために必要なことは、以下の4つです。

①歯列不正を正す、②不良習癖をなくす、③炎症がおきないようにコントロールできていること、④咬合が崩壊しないようにコントロールできていること。

口腔内を診て、ここを守っていきましょう。

臨床を他の先生に見てもらおう、グループに所属しよう

自分の臨床を人に見てもらおう。まずは院内の先輩に。勉強会の先輩に。スタディーグループでの発表。学会での症例発表。学会での発表。その先に専門医を取ることも楽しいことです。自分が何者かを証明しよう。

ぜひ勉強会に所属しよう。JSCOでも、ヘルスケア学会でも、大阪口腔インプラント研究会でも、ClubGPでも、iCEEDでも。歯科界には、多くの勉強会があります。外から刺激を自分に受けよう。身近に参加できるものに顔を出そう。

マネジメントを勉強しよう

マネジメントをぜひ勉強してほしい。スタッフがいてくれるから、自分の仕事のパフォーマンスを発揮できる。偉そうにする、自分から挨拶しない、挨拶されても返さない人間についてきてくれる人はいない。ヒト・モノ・カネ・情報。これをマネジメントできるようになるといい。ヒトのマネジメントは、スタッフ、後輩、同僚、先輩。ヒトから感謝されるようになろう。自分のできることで。

現状維持は衰退です。今のままでいい、って思考を若手勤務医の時もっていたら、やばいです。20代、30代は成長しかありません。今頑張らないと、将来頑張れる時間なくなります。家庭ができて、病気をもつ可能性がでて。後から後悔します。

成長速度は人それぞれです。でも、コツコツ、持続していくことはできます。

余裕があるならマーケティング思考も身に着けたらいい。

40歳になったとき、歯科医師人生とプライベートを両立できるようになろう。

20代、30代はその頑張る日々が楽しいよ。学術に追求してもいい。

でも40歳そこから先は、その人の人生を見られる。

歯科医師としての技術、知識、マインドを高めたら、自由な人生を手に入れる事ができます。プライベートも充実させてほしい。そして家族をもったらぜひ家族を大切にしてほしい。

男性ドクターには、ぜひ子育てをしてもらいたい。妻の大変さが分かったら、文句をいうこともなくなるだろう。

家族を大切にしよう。家族の思い出を残そう。スティーブ・ジョブズも最後に後悔を伝えたのは、家族の時間を十分取れなかったことだ。世の中を変えるような仕事をすることも大切だが、もっとも一番ちかいところの家族の時間を持つ。これが一番大切かもしれない。

あと、歯科界や経営者には、仕事では成功しているが、私生活が破綻している人もいい。目指す人を間違うと、自分の到達するところも間違ってしまう。

開業・独立を考える先生へ。

社会的責務を全うしてほしい。患者様に対してだけでなく、スタッフに対しても。

当然、開業医として成功してもらうことは大前提です。開業医として成功できないなら、勤務医として志結会でともに成功しよう。

開業して上手くいく先生の目安です。

①個人のみの年間医業収入が6000万円を超え、

②衛生士チェアー、急患・初診含め5台の対応ができ、

③月30名以上の初診対応ができ、

④スタッフ教育・スタッフ面談ができ、どんなスタッフが伸びるスタッフか肌感覚で確信を持つことができ、

⑤自分の人生理念(医院理念じゃなくて良い)があり、

⑥自分の長期人生ビジョンがあり、

⑦従業員教育・従業員の人生に責任を持てる!、、、、と心から思えたら、開業していいと思います。

逆に一つでも欠けるなら、リスクを背負ったままの開業と言えるでしょう。

ちなみにこれらの条件をクリアできる環境を志結会では揃えています。そして条件をクリアして豊かな開業医人生を歩んでほしいと思っています。

そして地域や歯科界で活躍してほしいと願っています。

現時点で達成が難しいなら、それを勤務医の時にクリアできるように成長しましょう。

人を雇うということについて

勤務

今、労働人口は急速に減っています。20年前とくらべて、20歳人口は約半数近くにまで減っています。極めて人を雇にくくなっている社会構造です。

起業する・開業するというのは、この労働集約型のサービスを提供する歯科医院という形態では、人を雇うということが必須となります。

人を雇うということは、勤務医で従業員と接するのとは180度立場が変わります。

雇用されているという立場から、雇用するという立場になることです。

そこで一つ考えてほしいです。自分が勤務医や従業員の人生を幸せに導けますか?

絶対じゃなくてもいいけども、自分が想う、このような人になって欲しいというビジョンがありますか?我が子の将来に向けて教育するのと同じ気持ちです。

ちょっと厳しく聞こえるかもしれませんが、それが無いなら、人を雇う資格は無いと僕は思います。世に出ている一流の臨床家と言われる先生たちはそれぞれ、こいつにはこう育ってほしい、こうなって欲しいという姿を持っています。

子供の成長に目をかけるのと同じです。

その人に良いインパクトを与えられるなら雇う意味があると思います。

もし、それが無いなら、もしかしたら、開業する、人を雇って、人の力を借りて、サービスを生み出すのはやめたほうが良いかもしれません。

勤務医をしていたほうがいいかもしれません。勤務医の時に、メンバー教育、スタッフ育成、

地域貢献、歯科界貢献を目指そう。

勤務医でできることから、開業医でできることが変わります。開業医になるメリットは地域活動、歯科界への活動をすることがさらにできるようになります。ぜひ地域貢献をしてください。歯科医師会やスタディーグループを通じて歯科界への貢献をしてください。

それをしないなら、勤務医として、臨床を追求するほうが幸せです。

リアルな声として、、、「開業すると、臨床以外のことに忙殺される!」このことを否定する開業医さんはほぼいません。これまで臨床に100の時間を取れていたとして、それが開業すると、臨床のことを考えられるのは10・それ以外の院内の仕事が90になります。

ここは本当によく覚悟をしておいたほうがいいと思います。

本当に臨床を追求したいなら、勤務医のほうがいい。

頭のウェイトを臨床で占めたいなら臨床に集中できる勤務医がオススメです。

開業医になると、ほんとうに、それ以外のことがめちゃくちゃ出てきます。

借金の管理。

お金の管理。

税理士さんとのやりとり。従業員の給料のこと。

社労士さんとのやり取り。出勤日数のこと。残業代が何円だとか。

器材の修理。管理。スタッフが壊れしたときの対応。

スタッフの採用、求人、電話応対・器材の準備など教育。スタッフとの面談。ホームページを作る。ハローワークのやり取り。労務問題。

銀行に行く。銀行とのやり取り。両替。

成長戦略の立案。新しい器材を導入できるか、どうか。

お金のやりくり。経費を考えて新規材料の選択。

スタッフがトラブル起こしたらその謝罪、責任を取る。

患者さんに安心してもらうための情報提供。新たな患者さんへの啓蒙活動。

これまで自分の想像できないほど多くの臨床以外のことに追われます。

これが上手くいけば、人を雇って分散することもできるようになりますが、はじめはそんなことを言っていられません。全部自分でするしかありません。

そして、ここで2つの開業医に分かれます。一つは、もう無理と自分の掲げた臨床を断念して現実の忙しさに流されてしまう歯科医師。

もう一つは、自分の掲げた臨床を実現するために、上にあげたようなことを人に任せていけるように、売上を上げて人を雇用して仕組みをつくり委任していけるようにしている歯科医師。

ここ重要です。

開業すると、自営業です。自営業に自分の時間なんてありません。すべてが自己責任になります。自分の理想とする臨床を実現するかどうかも自己責任。

ただ臨床以外の忙しさを知らずに開業して、あとから後悔しないようにしたほうが良いと思います。

開業するかどうか?勤務医でいるより、幸せになれると確信できるなら、開業したほうがいい。

開業するなら、成功すること。

学術的にも、経済的にも、歯科界・地域のためにという社会的にも。

自由診療、保険医療どちらを選ぶにしても。ただエビデンスベースドでいることは忘れないでほしい。

自分の中の医学的、経営的に正義を持ってほしい。悪に陥らないでほしい。

経済的にも豊かであれ。

そしてこの歯科界の価値を向上させてほしい。

1次予防、2次予防にも精通すること。それを歯科衛生士とともに築きあげられること。

患者様にとって価値を提供するのは当たり前。従業員にとっても価値のある職場を提供すること。

地域医療に貢献して、自分の臨床を通じて歯科界で後輩にも影響を与えてほしい。

開業することで、従業員の人生の成長を応援できないなら、開業する意味はない。

地域医療、従業員、歯科界に貢献してほしい。

それが自信がないなら、勤務医でまずは臨床を追求して自信を持てる所まで到達してほしい。

これからは、少子高齢化で、特に二極化が進みます。場所によっては無医村も出てきます。歯科医師の需給バランスは壊れていきます。だからこそ求められている地域での地域医療に従事する開業医も必要となってきます。

 

最後に

究極、どういう人生を歩むにしろ歯科医師として、豊かな人生を歩んでほしい。その手伝いができるのが志結会であってほしいと願っています。

 

最後に、この想い書く時間をいただいた、家族、医院のメンバー、全てに感謝します。